長く厳しい「スピードイエロー全塗装」の旅も終盤に差し掛かり今回は「磨き・組み付け仕上げ編」となります。
終盤とはいえ、ここからがまた大変気を使う作業が残っています。せっかく塗装が上手くいっても磨きで手を抜いてしまっては出来上がりがまったく違ってきます。そして、組み付けでもキズを付けてしまわないように慎重に丁寧に進めていかなければいけません。
磨き始める前に、まずは塗膜にホコリがのっていないか入念にボディをチェックします。塗装ブースで塗っても針先ほどの小さなゴミが付いてしまうことがあります。画像は無いのですが初めにそのゴミ(ホコリ)を取り除く作業をします。
YKBではまず#2000番のペーパーを当て、その後#3000番のペーパーで目消しをします。色の着いたホコリが乗っている場合はそのパネルは塗り直しです。
まず磨きです。磨きには3種類のコンパウンドを順番に使っていきます。コンパウンドを替える時にはパットも替えます。
始めに粒子の粗いコンパウンドで磨いていきます。そして順番に粒子の細かいコンパウンドを使用して磨き上げていきます。
深い傷を浅い傷で消していくイメージでしょうか。
だったら最初から深い傷なんか付けなければ良いと思うかもしれませんが、それではのってしまったホコリをキレイに除去出来ません。
細かい部分は小さなポリッシャーを使って丁寧に仕上げます。
普段の部分修理、例えばドアの修理なら先にドアを組み付けてから磨きますが今回は全塗装なのでドアやボンネットなどの部品を取り付ける前に粗いコンパウンドで磨いておきます。その後、大体の組み付けをして今度は細かいコンパウンドをかけていきます。組付けの時にどうしても微細な擦れ傷がわずかに付いてしまうからです。
下はドアの組み付けの様子です。
ドアを取り付けたら内側も仕上げていきます。配線やスピーカーなど電気類の動作確認をしながら進めていきます。
このポルシェ993は整備もきちんとされているため、いつエンジンを始動しても気持ちよく答えてくれます。
そして意外と大変なのがゴム類です。
今回はゴム類まで新品に交換をします。ゴム類を交換すると、ドアの締まりが固くなったり立て付けが狂ったり、最悪雨漏れを起こしたりしてしまいます。特にポルシェの場合なれていないと問題を起こしやすいのです。
しかし、993はゴム類をたくさん使っていますし、全体の引き締め役にもなるので脇役とはいえ、気は抜けません。
今時、国産の車でもこんなパッキンの付け方をするものはありません。
フロントフード内のゴム類装着、配線の様子です。
フロントウィンドウなど、ガラス類も入りました。
クルマらしくなってきましたね。
フロントフード、ヘッドライトも付きました。
リアバンパー取り付け。
ウォッシャーやヘッドライトなどポリッシャーが当たらないようにしてから磨きをかけていきます。
フロントバンパーも付きました。
最後に見落としがないかコンパウンドの残りがないか、油汚れなどついていないかなど確認をして完成です!!
ちょっとうす暗い写真しかありませんが完成の写真です。
前から
後ろから
斜め後ろ、993もリヤフェンダーのラインがたまらなく美しいですね。
足掛け一年、オーナー様は全く焦らすようなことも仰らなかったので、本当に納得のゆく作業をさせていただきとても感謝しています。
天竺への道はたいへん遠かったのですが、そこには美しく塗られた993が待っていました。
このような機会を頂きましたオーナ様、そしてこんな長いブログに最後まで付き合っていただいた読者の方々、本当にありがとうございました。