名古屋市より入庫のDODGE チャレンジャー。
YKBには珍しいアメリカン・マッスルカーです。

フロントバンパーとフェンダー修理になります。
写真ではわかりづらいですがフロントフェンダーのアーチ部分もかなり後ろの方まで折れています。
お客様はフロントフェンダーは取替ではなく、鈑金での修理をご希望です。


この部分はバンパーやヘッドランプと接する部分でもあるので
きちんと鈑金で形を出しておかなくてはいけません。
鈑金してはバンパーを合わせて、また鈑金をして調整をする。
何度も繰り返してからヘッドランプも仮付けして問題がないか
確認します。
それからやっとパテを使って面を作っていきます。キレイに鈑金ができているのでパテの範囲も小さくて済みました、もちろんこの時もバンパーを仮合わせして段差は無いか、隙間は均一か等を慎重に確認しながら作業を進めていきます。
アーチ部分にもプレスラインがあるので、そこも自然になる様に
形状を再現します。

バンパーは事故の傷と同様に飛び石の跡が酷かったので全て研磨した後、平滑になる様に下処理します。

バンパーはこの後サフェーサーを塗ります。

乾燥後にサフェーサーを研磨して面を出していきます。
ここが塗装後の仕上がりを左右すると言っても良い重要な作業です。

バンパーも同じく塗装後の状態を考えて研磨します。
言葉では簡単そうに聞こえるかもしれませんが、これだけ大きな
純正部品を歪が出ないように研磨するのは意外と神経を使います。


カラーベースを塗装しました。

その後クリアーを塗って仕上げです。白なので画像だと分り難いですがブース内の蛍光灯の映り込みを見てもイメージ通りのきれいな面が再現できました。しっかりと乾燥後、後日磨き作業です。写真を撮り忘れてしまいましたが後日、修正が必要でしたのでドアも塗装しました。

バンパーもフェンダー同様しっかり乾燥しますが、鋼板(55~65℃)に比べて温度を上げれないので低い温度(45℃前後)で長めに乾燥させます。
乾燥が甘いと後から磨き傷が浮き出てくることがあるので季節によって多少は調整しますが、この当たり前の作業にもこだわってます。

YKBでは塗装ブースを使用し、フィルターもこまめに交換しています。塗装の際には塗装用の服に着替え、極力ホコリが出ないようにしています。
しかしそこまでしても埃などの糸くずゴミが乗ってしまうことがあります。塗装範囲が広くなれば尚更です。
磨き工程でそういった表面の塗装ブツを落とします。

ちなみに白い車で黒色ゴミなんかついてしまったら塗り直しなんです! 泣


磨き工程にはもう一つ、「肌調整」という大事な目的があります。
車のクリアー表面は完全なツルツルではなく肌があります。
トヨタの最高級車センチュリーのような鏡面仕上げされた、ほとんど肌がない車も一部ありますが、ほとんどの車にはそれぞれ肌があります。

例えば、塗装してない隣のパネルがツルツルの肌なのに、塗装したパネルが荒い肌だと違和感があり、修理したのが分かってしまいます。
その逆も然りです。ツルツルすぎても荒すぎてもおかしいので
磨いた後のことを考えてクリアーを仕上げて、磨き工程でなるべく新車(そのクルマ本来の)の肌になる様に調整して合わせます。磨きも深いですね。

YKBでは修理が終わってお客様に愛車をお返しする時にまるで
”何もなかったかのような自然な仕上がり”を目指すことを
いつも考えて修理させていただきます。

完成です!

フェンダーとバンパー、両方が繋がるこの部分の修正には時間がかかりました。その分、段差なく隙間もきっちり仕上がりました。


うっ、美しい。
お客様にはまた喜んでドライブに出かけていただきたいですね!
なんとオーナー様は若い女性の方でした!