江南市からのお客様、WRX用フロントスポイラーです。
昨年、弊社にて塗装・取付をさせていただいたものですが、擦って割れてしまったとのことで修理のご依頼をいただきました。
パッと見は大したことない様に見えますが何箇所か裏まで割れて
いました。
2箇所は完全に割れてしまっています。
画像では分かりづらいですが、上面にも広範囲に蜘蛛の巣状の亀裂が広がっています。
新品への交換もご提案しましたが聞いた私もビックリな値段のパーツでしたので、大変なFRP修理作業が始まることになりました! 笑
本格的に暑くなる前で良かったかもしれません。削ったガラス繊維が汗で体に張り付くと、シャワーを浴びるまで延々とチクチクしますからね(汗)
段ボールの棒みたいなのは全体的な形状が変わってしまわない様に固定しているギブス(?)の役目です。
お客様のご都合で車はお預かりすることはできませんので、このギブスが重要になります。 笑
まずは割れや亀裂のある箇所をサンダーでザックリと削っていきます。
ある程度の深さまでザクザクと削り、その上からガラス繊維とFRP用の樹脂でガッチリと固める訳です。
表面から近い部分に空気が残ったままFRPマットを貼っても後々残った空気が夏の暑さなどで膨張して、塗装面が膨らんだりしてしまいます。
大胆に深く削って作業する理由はそのためです。
結果、最初にしっかり削ったぶん張り付けたFRPに厚みがあるので、時間が経ってから亀裂が浮き出てくるのを防げます。
丈夫には直ってもバンパーに負担をかけるようではいけませんので、なるべく重くならない事にも注意します。
以前にも書きましたが亀裂の上から薄くパテ付けはNGです。
作業時間は早いですが、ほぼ確実に後々亀裂が浮き出てきます。
FRPの亀裂は表面だけでなく深くまでいっている場合がほとんどです。表面だけ綺麗にしてもスグ下には亀裂が残っているので浮き出てくるのは当然ですね。
このガラス繊維を削った箇所に専用の樹脂(レジン)で固めていきます。
画像がありませんが、完全に割れてしまっていた2箇所はまず裏側にFRPを張り付けて表側の為の土台を作りつつ強度を確保しておきました。
硬化後に表面にも空気(気泡)が入らない様にFRPマットを貼っていきます。
FRPのレジンは紫外線を当て反応させて硬化させます。
雨の日に作業すると硬化するのに時間がかかるので効率がすごく悪いんです。
FRPが完全に硬化したら削って成形していきます。
このFRPの成形で大筋の形を決めます。
今回はバンパーに合わさる箇所にも広範囲に亀裂がありFRPを入れたので、本来であればバンパーと仮合わせをしながらピッタリ付くようにフィッティングをしていくのですが…
先ほどもお話ししましたが、お客様のご都合で車を預かる事が出来ないので合わせるバンパーが無いなか成形していかなければいけません。
左側は生きているのでソッチを参考にしながら、後は感覚ですね(笑)
FRPの成形でほぼ形が決まったらパテで細かく調整してサフ入れです。
FRP製品は高熱に弱く温度が上がりすぎると変形してしまうので
パテもサフェーサーも乾燥させるときは車体(鋼板)を乾燥させるよりも低い温度で乾燥させます。
サフェーサーを塗布すればやっとギブスを外せます。
ここまで来たら今回の修理はほとんど終わったようなものです。
サフェーサーの水研ぎで更に最終的な形状の微調整をしたらやっと塗装です!
塗装して乾燥後、磨いたら完成です!
この輝き!美しい! 笑
ここまで長い道のりでしたが、お客様に納品後「フィッティング大丈夫でした!」とのご連絡をいただき、ほっとしました!
もう擦らないでねぇ~。
どのお仕事もYKBでは綺麗な状態が長く続くような修理方法を心がけています。どんなことでもぜひ一度ご相談ください。