知多から入庫のインテグラ。
遠方からありがとうございます!
フロント、サイド、リアのエアロ一式を塗装・取付と経年劣化した左フェンダーとクォーターの塗装をご依頼いただきました。

十数年前の車ですがとても綺麗に維持されていて大切にされているのが伝わってきます。

エアロはお客様が用意されたもので、フロントとサイドのエアロが海外製新品、リアのみホンダ純正の中古のようです。
ホンダ純正のエアロは入手がなかなか難しいようでリア以外は海外製をチョイスされたそうです。
この海外製のエアロにこの後とっても手こずらされることになります笑

開封して一見した時点であまり作りが良くないなぁといった印象。
画像では綺麗に見えますが表面はウネウネで波打ってます。
嫌な予感はしますが、まずは現車に取付けてフィッティングの現状確認です。浮いてしまう箇所やFRPを盛ったり削ったりしなければいけない部分の確認です。
どの程度の精度なのかここでわかりますね。
なんですが、、、まったくバンパーに付く気配がありません!笑
角度が合っていなかったり寸法が合っていなかったり、過度に盛り上げてある箇所があったり。まず仮合わせすら出来ないのでフィッティング以前の話です!
サイドのエアロも同様に左右とも寸法や角度が合っていないのでどう頑張っても車に付きません!笑
さすが海外製です。加工して付くようにしてね~ってノリなんでしょうか?
隙間が空いたり浮いたり、精度が悪い程度ならまだしも付きもしないのは商品として成立していない気が😅

取付の邪魔になっている部分などを確認しながら、当てがっては削りを繰り返してなんとかバンパーに乗せることが出来ました!
まだフロントだけですが😓
ここで初めて各部のフィット具合を確認できます!

バンパーの形状と合っていなので隙間がすごいです。

横の隙間も酷いですね~
伝わりづらい箇所は画像に載せてませんが他もあちこちおかしいです。
このまま無理矢理付けて完成させることもできますが、間違いなく残念な車になってしまいます。
せっかく車体が綺麗なのにエアロがこんなにガタガタでは車が台無しです。
なるべく自然に見えるよう頑張って加工していきます!

まずは寸足らずで隙間が空いてしまう部分にFRPを盛って延長します。
写真を撮り忘れましたがエアロ下部に不必要な膨らみが3つあり、バンパー取付の障害になっていたのでまず表にFRPを盛り付け、硬化後に裏の膨らみは削り落してフラットにしました。
その3点の膨らみでバンパーを押さえつけて固定の一部にする狙いの設計だったんでしょうが、その膨らみのせいでバンパーへの取付が不可能になっていました。
本末転倒です笑 ただでさえタイトすぎるぐらいの作りなのに意味がわかりません。そのまま付けようとしたら間違いなくエアロが割れてました!

テープが貼ってある部分は取り付けるとバンパーとの間隔が均等になりません。部分的に広かったり狭かったりします。
とても不自然でかっこ悪いので、なるべく均等な間隔になるように確認しながら削っていきます。

裏側の凸凹もバンパーと干渉しそうな部分は削って滑らかにします。手の感覚でFRPの厚みを確認しながら薄くなり過ぎないように注意します。
削りすぎてFRPがペラペラになってしまうと強度不足で簡単に割れてしまうので。

合わせては削りを繰り返してかなりピッタリ付くようになりました!

両サイドはバンパーのアール部分の型をダンボールで作り、エアロのFRPを延長した部分にその型を合わせ粗削りします。
その後バンパーに合わせながら微調整を繰り返しました。
その甲斐あって両サイドのフィッティングもいい感じになりました!
左側は元々6~7mmは隙間が空いてましたから😓

だいぶフィッティングのゴールが見えてきたフロントですが、まだ問題はあります。

形はバンパーと合わせることが出来ましたが、エアロを乗せた状態でこれぐらいエアロが浮いてしまいます。
どうにかしてピッタリ付くようにしなければいけません!
裏側は切りっぱなしで両面テープを張るための台座もありません。FRPで両面テープ用の台座を作ってしまうことも出来ますが時間もかかりますし精度を出すのも難しいです。
そもそも、この部分の形状とこの浮き具合では両面テープでの固定はやめたほうが良さそうです。
FRPは硬い素材なので押さえつけたときに元に戻ろうとする反発力も強いです。
納車時は良くても後になって両面テープが反発力に負けて剥がれてしまい、また画像のように戻ってしまうかもしれません。
ガラスボンドなどの接着剤を中に流しこんでバンパーと接着してしまう方法も考えましたが、これも時間経過で浮いてしまうかもしれません。

そこで確実なボルト・ナットでの固定でいくことにしました。これならばどれだけ時間が経っても後から浮いてくることはありません。
エアロの裏から固定したい場所、計4ヵ所にボルトを植え付けます。このボルトが取れてしまっては意味がないのでFRPでガッチリ固定します!

ダブルナットにして走行の振動などでナットが緩まないようにもしておきます。

いい感じです!ピッタリ付くようになりました!

横もオッケーです!

フロントのフィッティングは完了なので表面の形を整えていきます。
エアロが重くなるのでなるべくパテは入れたくないのですが、いかんせん表面がボコボコなのでこれぐらいは入ってしまいます。
エアロの表面がボコボコに波打っていると一気に仕上がりがみすぼらしく見えてしまいます。
まるで純正のような綺麗な面を目指して研いでいきます。

フロントに区切りがついたので左右のサイドスポイラーです!
画像では伝わらないかもしれませんがこちらも酷いです笑
ラインはガタガタで所々パキッと割れてしまいそうなぐらい薄いです。
もちろん表面はボコボコです😭

現状で左右ともに車に付きません!その原因がこの膨らみ。
フロント同様にこの膨らみで車体側のロッカーモールを押さえつける狙いでしょうが、この膨らみで寸法が車体側より短くなってしまっているので物理的につきません。

まずは内寸を長くしなければ付けることすらできないので、リア側とフロント側の膨らみを削り落とす必要があります。
現状のまま削ってしまうと厚みがないのでこの部分が無くなってしまいます。

裏側の膨らみを削り落としてフラットにしても貫通してエアロが無くなってしまわないようにFRPを盛ってから削ります。
こうすることで内寸が伸びるので車体に付くようになるはずです!画像にありませんがフロント側もFRPを盛りました。

加工を繰り返し、やっと車体に付くようになりました!
ですが、この隙間を見てください。
クォーターの部分です。わざと浮かしているわけでもなくエアロを車体に合わせるとこんなに浮きます!角度がまったく合っていません。
これを見たときは思わず言葉を失いました笑 隙間なんてかわいいもんじゃないです。

左側のエアロは右側より角度のズレが酷く、どうしてもしっくり付きません。
画像の白い部分のあたりを支点にしてシーソーのようにカタカタします。フロント側を車体に合わせるとリア側が浮き、リア側を合わせるとフロント側が浮くといった具合です。
そのままではどうしようもないのでこの部分で一度エアロをカットしました!そして角度を調整してFRPで繋ぎ直しました。画像は繋ぎ直した後です。

だいぶ良くなってきました!
クォーターの部分以外にも難しい箇所があります。画像2枚目の部分、エアロがドアの下部と当たってしまっているのがわかるでしょうか?
このサイドスポイラーのドア下の部分は純正のロッカーモールに乗っかり、内側に入り込むのですがクリアランスがギリギリすぎてドアと当たってしまうんです。
元々ドアとステップの隙間は5mm程度しかないのに、その上にエアロの厚みが乗っかるのでドアとの隙間が無くなり開け閉めするたびに擦ってしまいます。
当然このままという訳にはいかないので、合わせてはFRPを盛っては削りを繰り返してドアを開け閉めしても擦らないように出来ました!
この部分は本当に難しかったです。エアロをどんどん削れば擦らなくはなりますが薄くなってしまうので簡単に割れるようになってしまいます。
強度を確保できる厚さを確保しつつ、ドアと擦らないようにしなければいけません。尚且つギリギリすぎてもダメです。平地でギリギリ擦らないレベルだと例えば後輪だけが段差に乗ったような、車体が軋んだ状態でドアを開け閉めしたら擦ってしまうかもしれません。
その調整・加工でなかなか時間がかかりましたが問題はクリア出来ました!

フィッティングを終えて表面の整形です。
フロントよりも更に表面はボコボコです。先は長いです。

リアはホンダ純正のエアロです。素材はFRPではなくABSです。
マフラーの上部にくる部分がマフラーの熱によって変形、ひび割れをおこしてしまっています。
裏側をみたら過去に修理された形跡がありました。ABSは熱に特に弱いのでこうなってしまったんですね。もしかしたら前の人は社外などの径の大きいマフラーに変えていて余計にこうなってしまったのかもしれません。

他にも割れている部分などもあるので修理していきます。
リアに関してはあまり写真を撮っていませんでした。特筆することもなかったので😅
もちろんこのリアもフィッティングに問題がないか車体にのせて仮合わせをしましたが、純正品は素晴らしいですね!
何の問題もなくピッタリ付きました!当たり前なんですが笑
フロント、サイドで苦戦しているので余計に日本のメーカー純正品の精度の高さを再確認しました。

そうこうしてすべてにサフェーサー(下地塗料)が入りました!やっと一区切りな感じです。
この後サフェーサーの研ぎで細かな修正をしてから塗装です!

すみません、いきなり塗装後です!塗装中の写真撮り忘れがちです。
バンパーに取り付けました!

加工の段階で塗装後の本番同様に仮合わせしておいたので問題なく取付。いい感じです!
バンパー際のパッキンは目立たないよう黒の3mm幅のものを使用しました。自然な感じです。

車体に乗りました!

サイドとリアは両端のタッピング以外は両面テープでの取付になりますが、脱脂後に専用のプライマーを塗布してから貼り付けました。
エアロの裏側もテープを貼る部分はテープを貼ることを見越してサフェーサーを塗っておきましたし、クリアーも吹いてツルツルにしておきました。FRPの素地だとテープの付きが弱くなります。ツルツルの表面の方がテープがしっかり貼りつきます。
絶対に後から浮いてこないでほしいので!笑 やれることはやっておきます!

完成です!
約2カ月ほどお預かりして年を越してしまいましたが、その甲斐あってお粗末な仕上がりの車にならずに済んだのではないでしょうか。
最初の状態では「付けなきゃよかった」確定でしたので、そうならないよう頑張りました!
あとはお客様の判断に委ねられます。

難しかったドアとのクリアランスは2~3mmあるので開閉で擦る心配はないです。

開口部のウネウネだったラインはボディと平行になるようまっすぐに加工しました。
厚みも確保してあるので足を引っかけてしまっても簡単にパキッとはいかないと思います。

かっこよくなりました!苦戦したぶん自分の車のように嬉しいです!笑

最初の状態を撮っていなかったので見比べることができませんが、劣化してクリアーが剥がれていた左フェンダーとクォーターも塗装しました!

FRPの加工は時間も手間もかかる大変な作業です。今回は寒い時期での作業でしたので効率が悪く、余計に時間がかかってしまったと思います。
冬場ではFRPの硬化に必要な紫外線が弱いので、なかなかFRPが固まってくれません。うちには大型のUVライトなどの機械はないのでFRPに関しては日差し頼みです。
FRPのエアロなどに関する作業を検討されている方は夏場の入庫がオススメです笑
夏場は気温も高く日差し(紫外線)が強いので外に出しておけばFRPがすぐに固まってくれます。汗で張り付くFRPの粉で体のチクチクは倍増しますが😅
ご依頼お待ちしてます!