ナローポルシェの入庫です。
今回は兵庫県からお越しのお客様!遠方からのご依頼ありがとうございます!
空冷ポルシェの入庫は珍しくないYKBですが、初代911にあたるナローの入庫は久しぶりです。
この時はこちらのナロー、930、993、996が入庫しており会社がポルシェ専門店のような様相を呈していました笑





こちらのお車、過去に全塗装をされたそうですが一部塗装が浮いてきてしまったとのことです。
右クォーターに1ヵ所、バックパネルは全体的にブクブクと浮いてしまっています。

まずはバックパネルを外していきますがナンバープレートの裏もブクブクです。



裏側も熱で焼け焦げていました。

バックパネルのすぐ後ろにはマフラーのタイコがあり高温になります。パネルとの空間もあまり無いため熱が籠もり塗装が浮いてしまったと思われます。
他にも過去の全塗装時の下地処理不足も考えられますが、バックパネルだけが酷く浮いてしまっているので熱が一番の原因ではないでしょうか。
熱対策は組付時に行いたいと思います。

剥離剤、レーザークリーナー、ペーパーでの研磨などで旧塗膜を除去していきます。


裏も表も綺麗に除去した後、下地を塗装します。



下地の研磨後にまずは裏側を塗装します。

裏側の塗装が完了です。

乾燥後に表を塗装。バックパネルの塗装は完了です!

並行していたクォーターパネルの作業です。
塗装が浮いていた部分を削っていくと一番下の鉄板が錆びていました。
過去に全塗装をされた際の作業写真をお客様が見せて下さいましたが、前回の業者さんは何回かに分けて、おそらくパネルごとに分けて車体をほぼ全剥離されたようです。
過去にも書かせていただいたようにYKBでは広範囲を一気に剥離して車体をベアメタル状態にするのはとてもリスキーだと考えているので行いません。
必要な場合は広範囲を一気に行わず細かく範囲を分けて速やかに金属の表面処理剤を塗布します。
鉄板表面が空気中に露出している時間が長くなればなるほど腐食のリスクが高まります。空気中の酸素と水分に反応して酸化が進むからです。
前回の業者さんはパネルごとに分けるなどの努力をされたようですが、露出状態での放置時間が長かったのか下地塗料が良くなかったのか原因は不明ですが残念な結果になってしまいましたね。
決して他人事ではありません。気を付けている私たちでも後になって不具合が起こる可能性はあります。こういった下地トラブルで厄介なのは作業時は目に見えず、納車後時間が経ってから症状が表に現れるところです。
こういった状態になっている車を見るたびに気を付けなければと改めて身が引き締まります。

錆びている部分を研磨後、ピンホールのように深くなっている部分には錆転換剤を塗布して赤錆から黒錆に変化させ錆の進行を防ぎます。

さらにウォッシュプライマー(金属表面処理剤)を薄く塗装して密着性と防錆性を高めます。

そこまでの下処理をしてからパテに移ります。

パテを研いで形を整え、

やっと下地塗料のサフェーサーが入りました。水研ぎでさらに形を整えて塗装に移ります。

バックパネルを取り付ける前にマフラー熱でまた塗装が浮いてしまわないよう対策します。
お客様が用意して下さった遮熱シートを形に合わせてカットしてから裏側に貼り付けます。


完成です!






納車日の前まで数日雨が続いていたんですがこの日は納車日和の晴天でした!持ってますね~。
これからもポルシェライフ楽しんで下さいね!