名古屋市より入庫のBMW E39型 530i。

今回は全塗装のご依頼をいただきました。しかも同色での全塗装ではなく色替えになります!
現在の色から別の色へと車を変身させます!
色替えするにあたり、ボンネットやトランク、ドアの裏や各開口部の内側の塗装も必要になります。
お客様の希望や予算にもよりますが、やはり外側のみの塗装だとドアやトランクを開けたときに内側の元色が見えてしまい不格好になってしまいます。
今回は内側も塗装します。
大仕事ですがお客様に満足していただける仕上がりを目指してがんばります!

今回シートやドア内張、ステアリングの張替えも行うそうなので、お客様が依頼した専門の内装屋さんに出すためにまずは内装を外しました。

外した部品、ボルトなどは場所ごとに細かく分けて上記のように写真も多めに撮っておきます。
どの部品がどう付いていたのか、どのボルトがどこに使われていたのか、組み上げる時までネジの1本まで全て記憶しておくのは不可能です。間に別の車をバラしたりもするので。
今回は全塗装ということで様々な部分をバラすので、組み上げるときに「このネジどこに付くんだっけ?たぶんここかな?」とならず全てスムーズに元通りにできるように文明の利器に頼ります。スマホさまさまです😅
写真で確認しながら作業すれば悩まず間違いなく元通りにできます。便利な時代になりました👴
サイズが同じボルトならボルトの頭が違っても別の場所に付いてしまいますが、機能的に問題なくても左右でボルトの頭がバラバラだったり1本だけ揃ってなかったりしたら気持ち悪いですからね。

内張とシートの取り外しが完了しました。シートが無いと車内が広い!

ステアリングは取り外した後、こちらで用意した同型の中古ステアリングを取り付けました。
内装屋さんからステアリングが戻ってくるまでの間、車を安全に移動させるためです。シャフトをバイスプライヤーなどで挟んでステアリング代わりにする移動は危険なので。安全第一!

内装屋さんに出す部品のバラしが終わったので外板の作業に移ります。
最初に凹みや飛び石、深い傷などがある箇所をチェックして必要であれば鈑金します。
ですが全体的に車の状態は良く、鈑金が必要な箇所はありませんでした。薄いパテやサフェーサーで済むものばかりでした。
大切にされてきた車なのが窺えます😄

まずはボンネットとトランクの裏を塗装します。

変更後の色はお客様希望のアルピナブルーⅡ。

いい色ですね~✨
この色に車全体が変わるのかと、こちらもイメージが膨らみます。
シルバーからの変化なので車の印象もかなり変わりそうです!楽しみです!

続いてフロントフェンダーとルーフの塗装です!

ヒンジ部の細かい部分も丁寧にマスキングしたので、外にブルーがはみ出したりせず綺麗に塗り分けられました。

クォーターやバックパネル、ドア開口部などの塗装をするためドアを外して足付けをしていきます。
ピラーなどに貼られているラベルステッカーは剥がして塗装後に新品を貼ります。

マスキングをしてボディの残りを塗装します。

ボディの塗装はこれにて完了です!

いい色です♪やはりメタリックやパールは太陽の下が一番美しく見えます。
こちらのアルピナブルーⅡという色は正面とスカシでかなり見え方が変わります。
正面はブルーパールなどが効いて明るい青み、角度を変えて斜めから見ると一転赤みが強く発色してバイオレットっぽい色味になります。
曇り空や屋内でメタリックとパールが光らないときはワントーン落ち着いた紺色っぽい青にも見えます。
条件によって様々な色味が楽しめます😀BMWもいい色を作りますね~。

次は先日裏側を塗っておいたボンネットとトランクの表側を塗装します。

綺麗に塗れました!

ボンネットとトランクを取付けてチリ合わせを済ませました。
おぉ~!だいぶ完成像がイメージできますね。ボンネットが付くと一気にクルマ感が戻ってきます😀
でもまだ先は長いです!次はドア4枚の塗装です。

塗装後はヒーターで熱をかけてしっかり乾燥させクリアを硬化させます。
表面温度を60~70℃まで上げるとクリアの硬化反応が急激に進みます。その状態でヒーターの当たる範囲1箇所につき1~2時間ほど乾燥させます。
それを繰り返し塗装面全体に熱をかけます。
乾燥が甘い状態で塗装面を磨くと磨いた直後はツヤツヤになりますが、日数が経つとクリアのツヤが引いてしまったりペーパー目やバフ目が浮き出てきてしまいます。
乾燥・硬化が不十分な塗膜は極端に言えば柔い状態です。爪を立てれば跡が付くような状態で磨くとバフの摩擦熱によってクリアが戻り、一時的にツヤツヤになります。しかも短時間ですぐにツヤツヤになります。ですが、冷えてクリアが戻った後や日数経過で抜けきっていなかった溶剤が抜けた時、硬化が完全に終わった時に前述したような不具合が現れます。
塗装後10~15分ほど熱をかけてすぐに磨き始める鈑金屋さんもありますが、納車直後は綺麗でも後から残念なことになります。
YKBに入庫される車でも過去に塗装されているパネルにブツを払ったペーパー目が浮き出てきているのを度々目にします。
おそらく磨いた直後は一時的に消えていたのでしょうが後から浮き出てきたのでしょう。乾燥が不十分で磨いたのが原因の1つと考えられます。
そうならないためにも乾燥にもしっかり時間をかけます。納車直後が綺麗なのは当然なので5年後、10年後も変わらないのが目標です!

乾燥後に取り付け。

前後バンパーとミラーやアウターハンドルなどの小物の塗装です。このセットで塗装工程はすべて完了します!

これにて塗装がすべて終わりました!山は越えました。
残りは組みと磨きです。

アウターハンドルをドアに取り付け、各ストライカーの調整をします。
ドアのロックがかみ合うボディー側のフックです。位置の調整が出来るようになっているので、ここでドアの出面などを微調整します。
ここの調整がイマイチだとドアの閉まりが悪くなったりチリがおかしくなったりするので大事な部分です。

いい感じです!

フロントバンパーを取付。
シルバーのTheセダンなルックスからこの色になりスポーツセダンな印象になりましたね~。

ドアミラーはお客様が用意された別タイプに変更希望でしたのでそちらを塗装し取り付けました。
四角から丸いデザインになってよりスポーティになりました。おそらくM5用のミラーですね。

リアバンパーを取付。

この車はガラス周りのモールがルーフに若干かぶるので、先にガラスを付けるとルーフのフチが綺麗に磨けなくなります。
なのでガラスを付ける前にルーフを磨いて仕上げます。

ルーフの磨きが完了しました!

右側面、ボンネット、フロントバンパーの磨きが完了!
塗膜が乾燥して溶剤が抜けたあと特有の若干のツヤ引きがありましたが、磨きで肌も落ち着いてツヤ感がより増しました。
残りは左側面とリアまわりです!

磨きが全て完了したので内装屋さんからあがってきた張替え済みの内装類を組んでいきます。

ステッチの3本がMのトリコロールカラーになってますね!おしゃれ!

リアシートを取付。

内装の取付が完了しました。組んだ箇所の動作確認も忘れずに。
パワーシート、ホーン、ドアロック、インナーハンドル、パワーウィンドウ、ミラー、スピーカーなどなど...
全て問題なく動作するか確認します。

長かった作業もいよいよ終わります!各部の新品ラベルステッカーを貼り、最後にサンルーフ周りのゴムモールを貼り付けて全ての作業が完了です。

合わせ部分も綺麗にピッタリ付きました!
新品は長いので車体に合わせてカットするんですが、万が一短くカットしすぎたら部品取り直しですから油断できません💦

完成です!

曇り空での納車になってしまい残念です!晴れた日に光が当たるととても綺麗な色なのでお客様にもその状態でお見せしたかったですが😅
これからいつでも見られますからね!いい色ですよ~。

約4カ月ほどお預かりしてお客様には待ち遠しい思いをさせてしまったと思いますが、まったく急かされることもなく気長にお待ちいただき助かりました😅
外板のみの同色全塗装の仕事は毎年1~2台は作業している気がしますが、内側の塗装も含めた色替え全塗装は久しぶりでしたのでこちらも楽しみながら?作業できました😄色が変わっていくのは作業していても面白いです。
ホイールや足廻りも交換予定ということでお客様にはまだ完成形ではないですが完成したらいつでも遊びに来て見せて下さいね~✨

Before/After