全塗装でランエボ8の入庫です。
2023年4台目の全塗装です!2023は全塗装の多い1年でした。

お車の状態は…

ボンネット先端に折れ、フロントバンパーに傷複数。

ボンネットの塗膜劣化。全体的にツヤも引いています。錆びたワイパーアームはお客様のオーダーで新品に交換します。

ルーフ、ルーフサイド、ドアサッシュ、トランクにも塗膜の劣化が見られます。ルーフはほぼ全面クリアが剥げて色が剥き出しの状態。
紫外線をモロに受けるアッパー面は全滅です。

リアバンパーに深い傷。

劣化した左右ドアミラー。こちらは新品に交換します。

見たところ左クォーターが部分補修されているようですが、クリアのボカシ際が切れてしまっています。画像では見えづらいですが間近で見るとモロわかりです。
こうなっているのは磨き終わった時点ですでに切れてしまっている場合が殆どだと思います。それが経年でより目立ってしまった感じですね。

アッパー面の塗膜劣化や車の全体的なツヤ引き、小さなエクボなども複数ありはしますが、大きな凹みや損傷はなく今まで大事に乗ってこられた車なんだろうな~という印象です😄
ドアやボンネット、フェンダーなどにもパッと見交換した形跡は見られませんでした✨
ピカピカに復活させましょう!

まずは一番劣化の酷かったルーフの研磨をしてから下地のサフェーサーを塗ります。
下の金属を極力出さないように且つ、研ぎで表面がボコボコにならないように注意して研磨しました。
ダブルアクションサンダーなどのエアツールを使えば早いですが、下手にサンダーなどでこういった面を研磨すると表面がボコボコになってしまうリスクがあるので、硬い当て板を使って大きく大きく手研ぎで研磨しました。
エアツールに比べれば時間は倍以上かかりますが綺麗に平滑にできました!下地処理が仕上がりに直結するので手は抜けません。
余談ですが、ボディはスチールですがルーフパネルはアルミでした。調べてみたらエボ8はこのMRからアルミルーフが採用されたとWikiに書いてありました。ネットの情報も案外合ってますね😁

フロントガラスのモールが被っていて塗れない部分はルーフの水研ぎが終わってガラスを外してから再度塗ります。
最初にガラスを外してしまうと後の水研ぎ作業などがしづらくなるためです。

続いてボンネット。先端を鈑金して劣化した塗膜を全て研磨していきます!
ボンネットもルーフと同じくアルミ製でした。

トランクを研いでいくためにエンブレムを剥がしましたが、三菱のスリーダイヤ跡がくっきり👀
エンブレムで隠れていた部分は紫外線が当たらないのでこれが本来の色ですね。糊の成分で若干の変色はあるかもしれませんが、とはいえ全体的に紫外線で色がかなり飛んでいるんですね。

これでボディのサフ入れは完了しました!
全塗装の場合いつも全面にサフェーサーを塗るわけではないですが、今回は酷いアッパー面はもちろん側面にも軽度の劣化が見られたので全面にサフェーサーを塗りました。
中途半端に旧塗膜を残して塗装すると後々その部分が吸い込んでツヤ引きを起こしたり、せっかく綺麗に塗装して仕上げても良い状態が長続きしない可能性があるので。

ドアサッシュの黒い部分。劣化だけではなくエッジには錆びも発生しています。研磨してみると思ったより下の方まで錆びていました。
最近の車のサッシュはテープや化粧パネルでブラックアウトされているのが一般的ですが、この車は塗装でブラックアウトされています。昔の車はよく塗装で黒くされてました。
この車はそこまで古くないのにな~…なんて思ってましたが、エボ8も発売から20年経つんですね!😮いつのまに💦
研磨して分かりましたがサッシュの黒い部分はクリアが塗られていませんでした。2液型、塗料に硬化剤を混ぜて塗るタイプです。
クリア仕上げに比べ対候性が低いのでツヤが引いて白っぽくなってしまっていたんですね。膜厚もかなり薄かったです。
新車製造時のいろんなコスト事情ですかね~。
もちろんクリアでツルツル長持ち仕上げにします!

ドア外板にサフェーサーを塗っていきます。

まだ一部バンパーなどの下地作りが残っていますが大方の下地作りは完了しました。

いつものように、1回で表裏を塗装しないボンネットとトランクの裏を先に塗装しておきます。
この車のボンネットやトランク裏はボディ色とは違う内板色のグレーに、ボディ色が部分的にかかったツヤのない仕上げでした。
ボディ外板がガンメタなので画像だと同じように見えますが、外板の色とは違います。

同じように仕上げる事も出来ますが、お客様に要望をお聞きしたところボディ色+クリアでツルツル仕上げにしてほしいとの事でしたのでボディ色で塗装します!
輸入車はボンネットの裏や各部内側もツルツル仕上げになっている事が多いですが、国産車の裏はまったくクリアがかかっていなかったり部分的にだけかかって肌がザラザラだったりする事が多いです。
新車時オリジナルの仕様にとことんこだわりたい場合は別ですが、せっかく全塗装するなら表も裏も全てツルツルにしてしまうのもいいと思いますよ!
ピカッとして綺麗ですから😁

裏側の塗装が完了です。ツルツルになりました👍

前後ガラスを業者さんに外してもらい、ルーフの下処理が済んだのでいよいよボディに色を入れます!
今回ボディの塗装は2回に分けます。

まずはルーフの塗装が完了です!

一番ガサガサだったルーフですが新車同然、いや新車以上?🤣
実際新車のクリア塗膜よりかなり厚く塗っているので耐久性は向上しています。新車の塗膜はコストの関係などでかなり薄いですからね。
材料費は気にせず塗りました😁これはお客様も喜んでくれるはず!
納車が待ち遠しいですが作業はまだまだ続きます!

ルーフの塗装が完了したので残りの部分の最終下処理をしていきます。

マスキングをして塗装です。塗装する部分以外に色がかからないようにしっかりマスキングします!これは全塗装に限らずどんな時もです。
車内に繋がる小さなボルト穴であっても、少しでも隙間があれば塗装ミストは潜っていきます。内装などにミストがかかっては大変なので!
裏からテープで塞げない穴などは表からビニールを詰め込んで塞ぎ、塗装後に回収します。

広範囲かつメタリックムラに気を使うガンメタなので集中力の維持が大変でしたが、綺麗に塗れました♪

新車時からザラザラのこういった部分もツルツルです。見えなくなっちゃいますが😅

これにてボディの塗装は無事完了です。一山越えて微かにゴールが見えてきました!

ボディに区切りがついたので残ったパーツの下処理を完了させます。

これで下地のサフェーサーはすべて完了です。次はこれらのサフェーサーを研いで最終的な面やラインを整え、順次塗装していきます!
他の車の作業もあるのでかかりっきりで進めることは出来ませんが一歩ずつ進めます!2~3人で一気に作業できれば早いんですけどね~😓少数のウチでは厳しいです💦
ネットで『全塗装 期間』と検索すると最短で1週間、通常は3週間~1ヶ月程度なんて書いてあったりしますが、ウチでは早くても2カ月ほどはかかります。

さて、ボンネットとトランクのサフ研ぎが完了したので塗装です!
せっかく先日塗装してツルツルになった裏側にミストがかかってザラザラにならないように、しっかりマスキングします。
ダクト周りには構造上隙間が沢山ありますが、それらもビニールを詰め込んで全て埋めます。

完了です。

後日トランクとボンネットを取り付けました。車がカタチになってきたのを見るとテンションも上がります😀

いいですね~。やる気ゲージが上がります!

次はドア4枚の塗装をするためのサフの水研ぎです。塗装前の最終下処理です。
このサフ研ぎが塗装後の仕上がりに直結するので重要です。少量ですがパテも入っているので尚更です。機械でザァーっと全面研いだり、スポンジペーパーなどで雑に手研ぎをしてしまうと、綺麗な面が出なかったりプレスラインが狂ってしまいます。
特にプレスラインはビシッと決まっていないと仕上がりに違和感が出てしまいます💦
プレスライン一つとってもエッジの効いた鋭いラインなのか丸みのあるラインなのか車によって様々です。
最近のVW車はかなりエッジの効いた鋭いプレスラインのデザインになっていますね。この車はあまりエッジの立っていない丸みのあるプレスラインです。そのプレスラインの丸み具合なども確認しながら水研ぎで最終調整します。

塗装完了です。サッシュの黒は乾燥後に塗装します。

続いてリアバンパーやサイドスカート。

ドアの乾燥が済んだので足付け、マスキングをして黒の塗装です。

完了です。

ドアを乾燥させている間に開口部を磨いておきます。ドアを付けてからだと磨きづらくなるためです。
肌の荒れもツヤ引きもないので磨かなくてもいいぐらいなんですが、せっかくなので更にツヤツヤにしておきます!

開口部の磨き完了後にドアを取り付け。フューエルリッドとリアバンパーも取り付けました。
どんどんカタチになってきました!1/1スケールの車のプラモデルを作っている気分です😁

フロントバンパーの塗装。

バンパーのメッシュなどは所々剥げていて白ボケもしていたのでツヤ消し黒に塗装します。
次の部品で塗装工程は完了します!

さて、塗装する最後の部品です。入庫時は取り外されていましたがトランクに付くカーボンウイング。こちらも修理します。

経年劣化で部分的に樹脂が剥がれて輪っかを描いています。こうなっているカーボンパーツはよく目にしますね。
一度こうなってしまうと完全に元通りにすることはほぼ出来ません😥今回は色を塗るわけではなくカーボン目を残す希望なのでサフェーサーを入れることも出来ません。
...出来る限り頑張ります!
まだ新しい時のカーボンパーツはツヤもあってツルツルしているので、クリアが塗られていると思う方も多いと思いますが、ほとんどの場合はクリアが塗られていません!
ツヤツヤしてクリアに見えるのはカーボン繊維を固めている樹脂そのものなんです。クリアを塗装していないカーボンパーツは紫外線であっという間に劣化します。
保管状態にもよりますが青空駐車ならスグです。
まずはツヤが引いていき、日焼けによる変色が始まり、気付いた時には所々剥がれています。
カーボンパーツはこうなってしまう前に早めのクリア塗装をオススメします。未塗装に比べ遥かに長持ちします。
もしくはUVカットのプロテクションフィルムをラッピングするのもいいと思います。
劣化していない状態でクリア塗装かラッピングするだけならそこまで高額にはならないと思います。
なにせカーボンを固めている樹脂が紫外線に弱いのが問題なんですね~。

全面を研磨しました。
レジンで剥離した部分を固めてからクリア塗装する方法もありますが、輪っか模様がそのまま残ってしまうリスクがあると判断したので1枚研ぎ落とす方法を選択しました。そもそも剥離しているのがこの部分なだけで、この面はすべて紫外線で劣化しているので一皮めくってしまうのが安牌かなと!
紫外線で変色していた表面の樹脂を削り取ったので本来の色味も多少戻りましたね。
おそらくクリアを塗装して乾燥後、高確率で表面に吸い込みが発生するので2回目のクリア塗装は必要かなと思います。

足付けが完了したのでカーボン目の部分をマスキングして、まずは側面の黒メタを塗装します。

側面部分はボディ色とは違う黒メタでした。
MRからはここが黒メタになっているようです。

黒メタの塗装後、マスキングを剥がして全面クリアを塗装したら完了です。
がっつり研磨したアッパー面は吸い込みの発生と磨き込むことを前提に、クリアを回数多く塗装しました。
あとは乾燥後にどの程度クリアを吸い込むかが問題です。吸い込みがあまりなければ磨きに移れますが、あまりにも吸い込みが著しければ再度クリアを塗装します!

フロントバンパーを取付。
2023年はここまでで仕事納めとなりました!できれば年内に納車したかったのですが無理でした💦
残る作業は年明けからです!

年明け、作業再開です!
ガラス業者さんが来たらすぐガラスを付けられるように、まずはルーフを磨いて仕上げました。更にツヤ感が増しました👍

残りも磨いて仕上げていきます。

ボディの磨きが完了しました!ヘッドライトは黄ばみと曇りが酷かったのでサービスで磨いておきました。
ボディがピカピカになってもヘッドライトが黄ばんでいると顔が締まりませんからね~。
今回はサービスで磨きましたが磨きではあまり長持ちしません。長持ちさせたい場合はヘッドライトスチーマーの施工をオススメします。

エンブレムはお客様希望で全て新品に交換します。比べてみると歴然です。
こういった細かな部品の劣化でも全塗装で車全体が綺麗になると目に付くようになるのはあるあるです。
ついでに新品に交換するのはいいと思います!

ウイングの乾燥後、クリアの吸い込みはほぼ発生しませんでした!表面にカーボン目の吸い込みが強烈に発生すると予想していましたが、嬉しい誤算です!これなら再度クリア塗装するまでもないので磨きに移れます。

磨き後にウイングを取付。入庫時は外されていましたが、やはりこの大きなウイングが付くと「ランエボ」って感じですね!しっくりきます。
残りの組みも済ませます。ドア4枚のアウターハンドル、ウェザーストリップ、左右ドアミラー、カウルトップ、ワイパーアームはお客様希望で新品に交換しました。

完成です!

約3カ月ほどお預かりして年も跨いでしまいましたが、無事完成しました!

中も外もピカピカです!うらやましいですね~😄
お客様はもう10年以上この車を所有されているそうで、この先も乗っていくため全塗装でのリフレッシュをご決断されたそうです。
別の車に乗り換えるより綺麗にして乗り続けたいといった方は多いです。とくにYKBのお客様はクルマ愛のある方が多いので😀
加えて今は新車・中古車問わず車の価格が高騰していますし、こういった価値ある車は一度手放すと気軽に買い戻せる金額ではないですからね💦新車価格越えも普通です。
綺麗になった愛車でこの先もカーライフを楽しんで下さい!

Before/After