80スープラの入庫です。
最近では国内に限らず海外人気も相まって価格も高騰していますね。

前から後ろまで側面を激しく損傷。
一度ディーラーに入庫したもののディーラー下請け業者が修理を断り、対応不可となっていたところ今回YKBに入庫することになりました。
かなりのダメージですがドアとクォーターは鈑金修理することになりました!すでに旧車に含まれる車なので、ドアやクォーターパネルは廃番でメーカーから新品が出ません。
こちらを鈑金で修理するのはかなり大変ですが元通りを目指して頑張ります!

フロントフェンダーは部品が出たので新品に交換します。

まずは粗出し。大きく凹んでいる部分などを戻し、大まかな形を復元します。

スタッド溶接機を使って部分的に引っ張ったり潰れたプレスラインを復元していきます。

今回の修理は損傷も大きく広範囲かつパネルの形状も流線的です。パネルの前から後ろまで潰れてしまっているので復元するための基準が必要です。
感覚のみで復元することも出来なくはないと思いますが、出来る限り正規のボディラインを復元するために生きている右側面を計測して型を作成しました。
この型を目印にしながら鈑金していきます!

かなりの日数がかかりましたが鈑金でのメタルワークが完了しました!
スタッド溶接のハンディプーラーを使って数百発、千発単位で溶接し引っ張ったり高い部分をハンマリングしながら、型に合わせて細かく細かく形を復元しました。
拡大しないと見えないと思いますが、鉄板表面の小さな点々は全てスタッド溶接で引っ張った跡です!尋常じゃない数なので鈑金担当の職人さんは腱鞘炎寸前です。

メタルワークが終わったのでパテの整形に移ります!パテ工程でも型と合わせつつ反対側のパネルも確認しながら整えていきます。
鉄板段階であれだけ復元できたのでパテの入る量も最小限で済みます。パテの厚盛りは出来るだけ避けたいですからね。パテてんこ盛りで彫刻のように修理されている車を度々見ますが気の毒になります。
ユーザーの予算などいろいろ事情もあったりするとは思いますが、限られた条件下でもなるべく良い仕事をしたいですね!

ドアのパテ研ぎがほぼ終わったので確認も兼ねて1回目のサフェーサーを入れます。

1回目のサフを研いで修正後に2回目のサフ入れ。とりあえずドアはこれで良さそうです。
80スープラは曲線が多用された形状で難しいです。ビシッとエッヂの効いたデザインとは真逆の曲線的なフォルムなので形が合っているのか判断が難しいですね。曲線も真っすぐじゃなくうねったラインだったりするので💦
やはり基準となる型を作成してよかったです!

クォーターも1回目のサフェーサーを入れました。悪くないですがこの後研いで若干修正。

クォーターも2回目のサフ入れが完了。
ここまで長かったですがボディは一区切りです。

あれだけの損傷だったので当然ドアは裏側まで潰れていましたが、表と平行して修理は進めていました。
表の区切りがついたので裏側の塗装を先に完了させました。

下処理はまだ続きます!
フロントバンパー下側のエアロパーツ、こちらはFRP製ですがFRP定番の蜘蛛の巣状の亀裂が左右にあります。
今回の事故とは直接関係ないですがこのまま塗装すると亀裂のまわりが盛り上がって余計に見苦しくなるのでついでに修理します!久しぶりのFRP修理です。

亀裂の再発を防ぐため、いつものように亀裂部分はベルトサンダーでザックリ削ってガラスマットとFRP樹脂で作り直します。
FRPの研ぎ後にパテで細かく修正します。毎度言ってますがパテだけで亀裂を埋めたりサフ厚盛りで埋めたりするのはNGです。時間が経ってからうっすら浮き出てきます。

フロントバンパーも修理します。懐かしのウレタンバンパー。
現在バンパーの素材はPP系(ポリプロピレン)が主流ですが一昔前はウレタンが多かったです。
PPより柔らかく、熱を加えると更にクタクタに柔らかくなります。このウレタンバンパーの修理がなかなか大変で変形などがあると厄介なんですが、幸い今回は変形は無く傷程度だったので一安心です。
とはいえ飛び石や小傷、過去に部分塗装された形跡などがあったので1本サフェーサーは入れます。

クォーターに付くスカートも修理してサフェーサーを入れました。

サフェーサーの研ぎとマスキングを終えていよいよボディに色を入れます!
大変な修理である事に加えて他の車の作業も並行しなければならないので、入庫からすでに数ヵ月経ってしまいましたがやっとここまで来ました。

ボディの塗装は完了です!

乾燥後にフェンダーとドアを取付。
いい感じじゃないでしょうか!最初の状態は見る影もないです。

見違えました👍

次はパーツ類の塗装です。

塗装完了です。

いよいよ最後の下処理、サイドスカートのフィッティング及び修正です。お客様の希望で別の社外エアロに変更です。

左右のフィッティング、サフ入れまで完了です!ひたすらFRPを貼ったり削ったり地味なので途中は割愛します。
エアロの作りはなかなか良かったのですが、とはいえボディにしっくり付くには各部の修正が必要だったので左右で丸二日弱かかりました。

サフ研ぎを終えて塗装。

これで塗装の工程は全て完了しました!残すは塗装面の磨きと組付けのみです。

バンパーとサイドスカートを取り付け、仕上げの磨きをしていきます。いよいよゴールは目前です!

完成です!

入庫から丸5ヶ月、お客様には大変待ち遠しい思いをさせてしまいましたが、その分綺麗に仕上がった愛車をお返しすることが出来ました。
頑張って直したので大事にして下さいね~。

Before/After